尿もれは「締める前」がカギ|股関節を開いて骨盤底筋を働かせる方法

骨盤底筋・フェムケア

骨盤底筋体操をしても効いている感じがしない…その理由は「締める前の準備」にありました

くしゃみをした瞬間。
子どもと縄跳びで跳ねた瞬間。
「あ……」とヒヤッとしたことはありませんか?

骨盤底筋(こつばんていきん)が大事だと聞いて、骨盤底筋体操(ケーゲル体操)も続けてきた。

「締めているつもり」は、ある。

なのに——「効いている感じ」が、しない。

尿もれ(尿漏れ)ケアを始めたのに、変化がよくわからない。 締めようとすると、お尻や内ももにばかり力が入る。 合っているのかどうかも、正直あやしい。

そんな人はいませんか?

もしかすると、足りないのは「もっと締めること」ではないのかもしれません。

骨盤底筋は、頑張って締めようとする前に、周りの筋肉を働きやすい位置に整えると、「あ、これか」という感覚につながりやすくなることがあります。

まずは、骨盤底筋が働きやすい状態を作ってみましょう。

尿もれ改善のために|締める前に股関節を開いて整える

難しい話の前に、いちばん知りたいところからお伝えします。

この記事では、その状態をわかりやすく「枠を作る」と表現しています。

まずは何も考えずに一緒にやってみてください。

  1. 四つん這いになる。
  2. 膝だけ外へ開く。
  3. 息を吐きながらお尻を踵へ引く。
  4. 内ももを内側へ寄せるイメージで力を入れる。

10回繰り返しましょう。

大切な注意点が2つあります。

✅ 「閉じよう」とするけれど、実際には閉じない。膝の幅はキープして、力の向きだけ締めるようにする
✅ 腰は丸めず、背中の姿勢を保つこと

この動きで、骨盤底筋に”張り”を出していきましょう。

「なんで開くと挙がるの?」——その理由を、次から説明していきますね。

なぜ”開いてから”がいいのか

骨盤底筋は、ひとりでがんばる筋肉ではありません

骨盤底筋は、骨盤の底に張られたハンモックのような筋肉です。
でも、このハンモック、自分だけで張りを保っているわけではありません。

骨盤の内側には、**内閉鎖筋(ないへいさきん)**という股関節の筋肉があります。

骨盤底筋は、この内閉鎖筋の筋膜に支えられるように、ハンモック状に張られています。

そのため、骨盤底筋の張りは、骨盤底筋だけで決まるものではなく、内閉鎖筋の状態にも影響を受けます。

「自分だけで頑張っているわけではない」という流れともつながります。

さらに、内もも(内転筋)も、骨盤の下のふちで骨盤底筋とお隣どうし。筋膜を介してゆるやかにつながっています。

こうした周りの筋肉とのつながりがあるため、骨盤底筋だけを意識しても、なかなかうまく働かないことがあるのです。

この記事では、この周りの筋肉が作る支えを「枠」と表現しています。

この「枠」をイメージするときに、トランポリンを思い浮かべるとわかりやすいです。

トランポリンで考えるとわかりやすい

骨盤底筋は、トランポリンの真ん中のマットのようなもの。

内閉鎖筋など周りの筋肉は、そのマットを支えるフレーム(枠)のような役割をしています。

マットがゆるんだままだと、どんなに押しても弾みません。

でも、フレームがピンと張っていれば、真ん中を押したときにしっかり跳ね返ってきます。

骨盤底筋も、これと同じです。

枠(内閉鎖筋)の張りが十分でないまま「締めて」も、うまく挙がる感覚は出にくいことがあります。

一方で、先に枠を整えてから締めると、骨盤底筋は働きやすくなります。

これが、最初に股関節を開く理由です。

「とにかく締める」より先に、まず置き方を整える。 整える before 鍛える、ですね。

もっと詳しく|ポジション・動きの理由・やりがちな間違い

ここからは、もう少し踏み込みます。 「だいたいわかった」という方は、読み飛ばしてもOKです。

「踵に引く」が効く、2つの理由

膝を開いた位置のまま、お尻をゆっくり踵の方へ引いていきます。 このとき、体の中ではふたつのことが起きています。

ひとつめ。

枠の張りを保ちやすくなります。

お尻を踵へ引くことで、骨盤周囲の筋肉が協調しやすい姿勢になります。

そのため、動いている間も「枠」の張りを保ちやすくなると考えられます。

ふたつめ。

肋骨と骨盤が”そろい”ます。

お尻を引くと骨盤がやや後ろへ傾きやすくなり、肋骨(ろっこつ)がすっと下りてきます。

横隔膜と骨盤底筋の位置関係が整いやすくなり、息を吐いたときに骨盤底筋が自然に働きやすい状態につながります。(ここは腹圧(IAP)の記事と同じしくみです)

仕上げ|引いた「底」で、内側へ

お尻を引ききった、いちばん深いところ。 ここが、枠を感じやすいポジションです。

その底で、息を吐きながら、内ももを内側へ。

くり返しになりますが、ここがいちばん大切。 「閉じよう」とするけれど、実際には閉じません。

膝が本当に閉じてしまうと、せっかく感じやすくなった「枠」の感覚が失われやすいからです。

うまくいくと、骨盤の真ん中が軽くなる感じや、下から支えられる感じが出る方もいます。

感覚には個人差があります。

そのため、「感じない=できていない」ではありません。

やりがちな3つのこと

  • 膝を閉じにいく → 枠がゆるみます。幅はキープ、力だけ内側へ。
  • お尻をギュッと握る → お尻で固めると骨盤底筋の感覚が消えます。お尻は”添える”くらいで。
  • 息を止める → 止めるとお腹が固まって挙がりません。吐きながら、が基本です。

「閉じて締める」と、何が違うの?

よく知られた方法に、「膝でボールを挟んで締める」があります。 あれも内ももを使う、正しい方法のひとつです。

ただ、目的が少し違います。

ボールを挟む方法は、内ももを使って力を引き出しやすくする方法のひとつです。

一方で今回のエクササイズは、股関節を開いた位置を保ちながら「挙がる感覚」を引き出したいときに使いやすい方法です。

膝を閉じながら締めるか、開いた位置を保ちながら内へ寄せるか。

この違いが、「挙がる感じ」の違いにつながることがあります。


まとめ|「締める」前に、置き方を整える

最後に、ぎゅっとまとめます。

✅ 骨盤底筋は、内閉鎖筋の筋膜を支えの一つとして張られている
✅ だから股関節を開いて土台を作り、そこから内へ締めると、力が伝わりやすい
✅ 動きは「膝を開く → 踵に引く → 底で内ももを内へ(閉じない)」
✅ 目指すのは力の強さではなく、土台が整ったところで”すっと働く”感覚


尿もれ(尿漏れ)ケアで骨盤底筋体操を続けてきたのに変わらなかった、という方ほど、 「締める前に、置き方を整える」この順番で手応えが変わってくるはずです。

今日からは、

①膝を開く
②お尻を踵へ引く
③膝は開いたまま内ももを内へ

尿もれケアは、「もっと頑張って締めること」から始まるのではなく、「骨盤底筋が働きやすい環境を整えること」から始まるのかもしれません。

まずは10回だけ。

「もっと締める」ではなく、
「先に整える」。

今日の10回が、その最初の一歩になれば嬉しいです。

理学療法士ラビ

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